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新たな3件の保安規定違反と3度目の高レベル廃液漏洩事故を受けての国の審議会委員への要望書

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六ヶ所再処理施設総点検に関する検討会委員の皆様への要望書
新たな3件の保安規定違反と3度目の高レベル廃液漏洩事故は、
これまでの保安院の対応が誤っていたことを、事実をもって示しました

日本原燃の再処理事業者としての適格性を根本的なところから問題にしてください

六ヶ所再処理施設総点検に関する検討会
主査 神田 啓治 様

2009年11月23日
再処理とめたい!首都圏市民のつどい

要望書(PDF)をダウンロード

 日本原燃は、10月22日、六ヶ所再処理工場において、3度目の高レベル廃液漏洩事故を起こしました。また、原子力安全・保安院は、11月9日、9月7~18日に行われた同工場に対する第2回保安検査にて、新たに3件の保安規定違反が確認されていたことを公表しました。

品質保証体制に重大な欠陥を抱えたままでの事業の継続が今回の事故と違反をもたらした

   昨年12月から今年2月にかけて犯された5件の保安規定違反は、約149リットルもの高レベル廃液大量漏洩事故とその後の固化セル内洗浄作業でのセルの壁の隙間への高レベル廃液の浸入事故をもたらしました。保安規定に基づかない組織によりガラス固化試験を進めるなど、再処理事業部長ら上位幹部自身が端から保安規定を遵守して作業を行うという基本認識がなく、5件全てが、上位幹部が直接的に関与する形で犯されました。極めて厳重な管理が要求される高レベル廃液を、保安規定を遵守する意識すらない管理体制で取り扱い、漏洩させたという、再処理事業者としての資格そのものが問われる違反であったにもかかわらず、保安院は原子炉等規制法に基づく何らの強制権限も発動せず、4月30日付の原燃の報告書(以下4・30報告書)をそのまま受け入れました。4・30報告書は、上位幹部の責任を明らかにすることもなく、専ら、中間管理職とのコミュニケーション、手順書、教育を充実させるとするだけでした。その結果、原燃の組織的欠陥はそのまま温存され、6月には協力会社の作業員の皮膚に放射性物質を付着させる事故を2回も起こし、7月から8月にかけては線量計を携帯せずに管理区域に入らせる等管理区域への入域管理に係る違反を3回も犯しました。6月6日の皮膚汚染事故と8月11日の線量計不携帯の違反は、1月の高レベル廃液漏洩事故の復旧作業の中で発生しています。今回の保安検査報告書では、6月6日の事故が、作業計画が極めていい加減であったことから発生したことがより一層明らかになりました。そして、前回からわずか半年後に3件もの保安規定違反を再犯するという事態に至ったのです。
 3件全てが、マニュアルすら守れないという組織的欠陥が改善されていないことを示しました。特に、分離建屋搭槽類廃ガス処理設備廃ガス洗浄塔入口圧力高警報を「設備に求められる状態」外に移行させた場合に要求される措置の未実施という違反については、前回の保安規定違反のうちの2件が、「設備に求められる状態」を満足しないおそれのある事態が発見された時の措置の未実施という違反であったにもかかわらず、同種の違反を繰り返したことになります。設備が不正常な状態に陥った時にまともな措置が取れない、違反を犯し反省したと言いながらも一向にそのような杜撰な品質保証体制を改善することができない組織的欠陥を如実に示しています。
 さらに、保安院は新たな3件の保安規定違反を9月に確認しながら、11月9日に至るまで報告書提出指示すら出しませんでした。その結果、原燃は10月16日に固化セル内洗浄作業を再開し、その洗浄作業に係る準備作業の最中に3度目の高レベル廃液漏洩事故を起こしました。保安院が、保安規定違反の再犯を確認し次第、事業の停止を命じていれば3度目の事故は起こらなかったのです。3度目の事故は、パワーマニピュレータを遠隔操作していた社員が、補助ホイストチェーンにつり下げていた機器に気を取られて、閉止フランジに気づかず、衝突させてしまったことにより起こったとされていますが、このようなミスは作業計画・体制がまともなものであれば防げたはずです。前回の保安規定違反のうち2件が保修作業実施計画を未作成のまま安全上重要な施設の安全機能に係る保修作業を行ったという違反でしたが、杜撰な作業計画・体制が全く改められていないということを示しています。高レベル廃液が供給槽Aから供給配管に移送された原因も分からないという、今もなお高レベル廃液管理能力が欠如した非常に危うい状態で事業が続けられていることも明らかになりました。さらに、原燃は11月18日、低レベル廃棄物処理建屋(DA建屋)にて、協力会社の作業員が他人の個人線量計を誤着用して管理区域に入域するという、入域管理に係る違反をまたしても犯しました。保安院が、度重なる事故や違反に対して極めて甘い対応しか取らないことが、さらなる事故や違反を続出させていると言わざるをえません。
 貴検討会も、7月9日に行われた第30回会合にて、4・30報告書の内容を審議し了承しましたが、続出する事故と違反を見れば、4・30報告書で出された対策はまるで機能していないことは明らかです。貴検討会にもこれらの事故と違反に対する責任があると言わざるをえないのではないでしょうか。

放射性廃棄物の「仮置き」の常態化は炉規法違反

 また、原燃は、9月7日付報告書(以下9・7報告書)にて、使用済燃料受入れ・貯蔵施設(F施設)において、200リットルドラム缶約8100本分の「使用済燃料によって汚染された物」を容器に封入せずビニール袋むき出しのまま、通路等に「仮置き」という名目で長期間放置し続けているという事実を公表しました。9・7報告書では、「仮置き」は2001年7月から開始され、2003年以降「仮置き」状態が継続、常態化したとされています。この6~8年にもわたる放置は、「容器に封入し、または容器に固型化して放射線障害防止の効果を持った保管廃棄施設に保管廃棄する」等の措置を取っていなかったということであり、「使用済燃料の再処理の事業に関する規則」第16条と炉規法第48条に違反しています。また、「仮置き廃棄物」の数量管理を実施していなかったため、放射性廃棄物の総量がいつ第1低レベル廃棄物貯蔵建屋(FD建屋)の保管廃棄能力を超えたのかということすら特定できていないという事実も明らかになりましたが、これは「放射性廃棄物に含まれる放射性物質の数量」を記録しなければならないとする同規則第8条と炉規法第47条に違反しています。これらは事業者としての信頼性を失墜させる違反であり、炉規法第49条に基づき、施設の使用停止が命じられるべきであると考えます。さらに、この「仮置き」は保安規定違反とされて然るべきであり、炉規法第46条の7第2項に基づいて、事業指定取り消しまで問題とされるべきであると考えます。再処理事業部長の指示で「仮置き」が行われてきたこと、社長も品質保証室も「仮置き」の事実を知っていながら、誰も是正しようとしなかったことは、原燃の組織全体に染みついた品質保証体制の欠陥を示しています。
 保安院は、今年8月31日になって初めて、「仮置き」の事実を公表し、原燃に対して改善するよう文書にて指示しました。しかし、保安院は、2001年9月の保安検査の時から「仮置き」の事実を把握しており、それ以降約8年間、保安検査の度ごとに「仮置き」が常態化しており、そのエリアが拡大され続けているのを見続けながら、公表もせず、原燃と共に放置し続けてきました。また、今回の保安検査ではビニール袋の破損やルーズな防火対策が確認されており、原燃と保安院がこれまで如何に杜撰な形で放射性廃棄物を放置してきたのかがより一層明らかになっています。また、原燃は、「仮置き廃棄物」の量がFD建屋の保管廃棄能力を超えたと推定されている2006年頃以降も、再処理施設本体が竣工すればDA建屋に持ち出すことができるとして、ガラス固化試験などで事故やトラブルが続出し、竣工に具体的な見通しが立たない状態にありながら、新しい貯蔵建屋を建てる等の抜本的な措置をとりませんでしたが、保安院もそれを容認し続けました。そして、来年になるまで「仮置き」状態は解消されないにもかかわらず、保安院は、現在も使用済燃料の新規搬入を行わせ続け、それに伴い放射性廃棄物の量が増大することをよしとしています。保安院は、この「仮置き」問題に対する措置も、報告書を提出させるだけに止め、「仮置き」状態が順次解消されさえすればよいとしています。
 貴検討会は、F施設等での漏洩事故と、291箇所もの「計画外溶接」の発覚を受けて2003年8月に設置されました。貴検討会と保安院は、2004年3月に原燃の「再処理施設品質保証体制点検結果報告書」を承認し、施設の健全性の確認が全く不十分なまま、また、品質保証体制に欠陥を抱えたまま、原燃が事業を継続することをよしとしました。しかし、貴検討会が設置され、同報告書を承認した時から、F施設での漏洩事故の補修工事のため放射性廃棄物が大量に発生し、「仮置き」エリアは拡大され続けていたのです。貴検討会も「仮置き」を常態化させたことに対する責任を負っています。

安易に報告書を承認するのではなく、原燃の再処理事業者としての適格性を根本的なところから厳しく問題にする必要がある

  11月9日に出した保安院の措置はまたしても報告書提出指示に止まっています。しかし、前回の保安規定違反に対する措置を報告書提出指示のみに止めたことと、極めて不十分な内容の4・30報告書をそのまま受け入れたことにより、その後も事故と違反が続出し、挙句の果てには、わずか半年から8ヶ月強の間に保安規定違反と高レベル廃液漏洩事故の両方の再犯が起こったのです。報告書を提出させ、その上で改善状況を確認するというこれまでの対応では、一向に品質保証体制は改まらないということを明確に示しています。前回の保安規定違反も炉規法第46条の7第2項に基づく事業指定取り消しが問題とされるべき極めて重大な内容であり、そのような違反を犯してもなお品質保証体制は全く改められることなく、保安規定違反を再犯した以上、原燃に事業を継続させることが許されるのかどうかが、今まさに真正面から問われていると考えます。
  貴検討会は原燃の品質保証体制を厳格に点検する責任を負っています。貴検討会第31回会合では、保安院の指示により原燃が11月24日までに出す報告書の審議が行われると報道されています。原燃は、報告書の提出後、固化セル内洗浄作業を再開しようとしていると思われます。しかし、品質保証体制がまるで改善されていない状態での、漏洩した高レベル廃液で汚染まみれになった固化セルにおける作業再開は、また新たな事故や違反を続出させることになりかねません。安易に報告書を承認するのではなく、何度報告書を出しても品質保証体制がまるで改善されず、事故と違反を繰り返す現状を直視し、原燃の再処理事業者としての適格性を根本的なところから厳しく点検していただくことを強く要望いたします。また、原燃の違反を放置する保安院の規制当局として極めて不適格な対応についても厳しく問題にしていただきたいと考えます。

要 望 事 項
1.貴検討会第30回会合にて日本原燃の4月30日付報告書の内容を承認したことは誤りであったとの認識の上に立ち、日本原燃の再処理事業者としての適格性を根本的なところから問題にしてください
2.日本原燃の品質保証体制の欠陥が抜本的に改められたことが確認できるまで、固化セル内洗浄作業の再開をはじめアクティブ試験再開に向けた一切の作業を認めないでください
3.原子力安全・保安院の日本原燃への規制当局として極めて不適格な対応を厳しく問題にしてください

再処理とめたい!首都圏市民のつどい
<連絡先>
〒162―0825 東京都新宿区神楽坂2―19銀鈴会館405号
福島老朽原発を考える会気付
TEL 03―5225―7213   FAX 03―5225―7214

六ヶ所再処理施設総点検に関する検討会委員リスト

2009年7月9日第30回検討会配布資料に基づいて作成

http://www.meti.go.jp/committee/materials2/downloadfiles/g90709a09j.pdf

●神田 啓治
◇主査
〒598-0048 
大阪府泉佐野市りんくう往来北1番 りんくうゲートタワービル14階
エネルギー政策研究所 所長
TEL 072‐460-1410  FAX 072-460-1430

●井川 陽次郎
〒100-8055
千代田区大手町1-7-1
読売新聞東京本社 論説委員
TEL03-3242-1111(代)  FAX03-3216-7746(読者センター)
https://app.yomiuri.co.jp/form/

●大島 まり
〒153-8505
東京都目黒区駒場4丁目6番1号 De505
東京大学 生産技術研究所 教授 
TEL03-5452-6205 (内線56205)

●小川 輝繁
〒103-0025
東京都中央区日本橋茅場町3-5-2 アロマビル6F
財団法人総合安全工学研究所 専務理事
TEL03-3668-5861  FAX03-3668-5861
https://ver.primehs.net/~wacgu000/sslmf/riseginza.htm

●北村 正晴
〒980-8579
宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉6-6-10
東北大学 未来科学技術共同研究センター 客員教授 
TEL022-795-4006  FAX022-795-4010(北村研究室)
https://ssl.niche.tohoku.ac.jp/contact.php

●黒川 明夫
〒105-0012
東京都港区芝大門二丁目10番12号秀和第三芝パ-クビル
財団法人発電設備技術検査協会
ISO審査登録センター 主任審査員
TEL03-5404-3877  FAX03-5404-3882

●小林 英男
〒240-8501
神奈川県 横浜市 保土ヶ谷区常盤台79-5
横浜国立大学
安心・安全の科学研究教育センター 教授 
TEL045-339-3776  FAX045-339-4294

●杉山 俊英
〒319-1195
茨城県那珂郡東海村白方白根2番地4
日本原子力研究開発機構
安全研究センター 副センター長 
TEL029-282-5100(代表) FAX029-282-6111

●竹下 功
〒105-0001
東京都港区虎ノ門4-1-20田中山ビル8階
社団法人日本技術士会 参与 
TEL03-3459-1331(事務局)FAX03-3459-1338(事務局総務部)
https://www.engineer.or.jp/webmaster00.html

●仁田 周一
〒194-0215 
東京都町田市小山ヶ丘4-6-8
サレジオ工業高等専門学校 専攻科 教授 
TEL042-775-3020(代) FAX042-775-3021

●松本 史朗
◇核燃料サイクル安全小委員会委員長/同再処理WG主査
〒105-0001
港区虎ノ門3丁目17番1号TOKYUREIT虎ノ門ビル
原子力安全基盤機構 技術顧問 
TEL03-4511-1111(代) FAX03-4511-1297(広報)
http://www.jnes.go.jp/toiawase/index.html

●山中 伸介
〒565-0871
大阪府吹田市山田丘2-1
大阪大学大学院
工学研究科環境・エネルギー工学専攻 教授 
TEL06-6879-7904  FAX06-6879-7889

●和気 洋子
〒108-8345
東京都港区三田二丁目15-45
慶応義塾大学商学部 教授
TEL03-5427-1558 


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